至高の領域へ到達するために、
究められた技術がそこにある。

Speaker System

TAD Reference One

R1TX

Stereo Sound Grand Prix 2019 オーディオ銘機賞2020 ハイエンド特別賞

TAD Reference One

2007年の発売以降 “Referenceシリーズ” のフラグシップモデルとしてハイエンドオーディオ市場において高く評価されてきた「TAD-R1」、「TAD-R1MK2」の系譜を引き継ぐ、最高峰のフロア型スピーカーシステム「TAD-R1TX」。
次世代の “Referenceシリーズ” を担う「TAD-R1TX」は、技術者の力を結集し極限まで音質を追求するとともに、エンクロージャーを山形県の高級家具メーカー「天童木工」と共同で制作。世界の著名なクリエーターのオーダーに応え、数々の名作を生み出してきた「天童木工」の匠の技術によりさらに進化したSILENTエンクロージャーを用いることで、さらなる音質向上とともに、“Reference” の名にふさわしい風合いと美しさを両立し、フラブシップにふさわしいモデルとして登場。

テクノロジー

独自の蒸着法で、さらに高品質・高精度に。
「ベリリウム・ダイアフラム」搭載。

〈TAD Reference One〉のトゥイータードームとミッドレンジコーンには金属材料中最も軽量かつ高剛性という優れた素材であり、その実績において40余年の歴史を誇る「TAD」伝統のベリリウムを採用。ダイアフラムの製造には、独自に開発し長年培ってきた蒸着法を用いることにより、強度や均一性において一段と優れた性能を達成するとともに、高い内部損失を併せ持つことを可能としました。トゥイーターの形状には「HSDOM(Harmonized Synthetic Diaphragm Optimum Method)」というコンピューター解析による先進の最適化手法を導入。ダイアフラムに生じる分割振動を可聴帯域外へ追いやるとともに、さらに分割振動さえも的確にコントロールし、100kHzもの超高音域再生を可能としています。ミッドレンジには直接放射型の蒸着ベリリウム・ダイアフラムとしては最大級の口径となるコーンを採用。その圧倒的な再生能力によるハイスピードなサウンドは広帯域に渡り驚異的な透明感と高精度な再生を実現しています。


CSTドライバーの構造図

オリジナルの優れたベリリウム製法「蒸着法」

「TAD」製品に採用されているベリリウムは、すべてオリジナル技術による蒸着法を用いて製造。蒸着法の優れている点は、分子組成を保ったまま粒子が結合することにより、金属では考えられないほどの高い剛性と内部損失をあわせ持つことを可能にしました。 また、蒸着法でベリリウムを生産できるのは世界で唯一です。

ベリリウム振動板の表面拡大写真と断層拡大写真


蒸着面


破断面

Material Density
(g/cm3)
Young modulus
(*E1ON/m2)
Velocity
(m/s)
Inner loss
(-)
Aluminum 2.7 7 5092 0.003
Titanium 4.4 11.9 5201 0.003
Beryllium 1.85 28 12302 0.005
Magnesium 1.78 4.5 5028 0.006
Boron Alloy 4.5 23 7149 0.005
Paper 0.2-0.8 0.003-0.6 1200-3750 0.02-0.1
Ceramic Carbon 1.4 3.5 5000 0.005
Ceramic Graphite 1.8 18 10000 0.01
Crystallized Diamond 3.4 90 16270 0.014

かつてない理想的な広帯域再生と指向特性を可能にする「CSTドライバー」。

目指したのは、「音像と音場の高次元での両立」。〈TAD Reference One〉に搭載した「CST(Coherent Source Transducer)ドライバー」は“位相の一致したひとつのポイントから広帯域に渡り指向性をコントロールした再生をする”という理想を具現化したものです。ミッドレンジのコーンは、それ自身が優れた音響特性を持つだけではなく、同軸配置されたトゥイーターの指向特性をコントロールする機能を併せ持つように綿密に計算された設計となっています。これによりトゥイーターとミッドレンジの音響中心を同一にし、クロスオーバーにおける位相特性と指向減衰特性とを一致させています。同軸スピーカーを進化させた「CSTドライバー」は、250Hz~100kHzという超広帯域再生能力と、その全帯域に渡り乱れることなくきれいに減衰する指向放射パターンを併せ持つことを可能にしました。これにより極めて明確で安定した定位とともに、広いサービスエリアとかつてない豊かで自然な音場空間表現を実現しました。


CSTドライバー

TAD Reference One 周波数特性概念図

TAD Reference One 周波数特性概念図

「ISOドライブテクノロジー」の採用により、「CSTドライバー」のクリアな駆動を実現。

「CSTドライバー」は、放射される音の振舞いを最適化するよう精密に設計されたヘッド形状を持つ高剛性エンクロージャーにマウントされています。その際、ドライバーの持つパフォーマンスを最大限に引き出し、正確な波形再生を実現するために、新開発の「ISO(Isolation)ドライブテクノロジー」を採用。エンクロージャーにドライバーユニットを設置する際、振動を遮断する機構を設けることで、「CSTドライバー」をエンクロージャーから構造的に分離させました。強力なドライブ能力を持つ「CSTドライバー」によるエンクロージャーの励振を防ぎ、エンクロージャーからの二次的な輻射音を低減しています。また、強力なウーファーの駆動による振動エネルギーや遅れを伴うキャビネットの共振も遮断。「CSTドライバー」の振動板から放射される音だけを正確にリスナーに届けることで、演奏者の繊細な動きに合わせ微妙に変化する音色や振幅の違いまで、その正確なディテールを描きだす解像度の向上を図りました。

CSTドライバーユニット分解写真

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「OFGMS磁気回路」により、極めて正確なリニア駆動を実現。

ベリリウム・ダイアフラムにより形成された「CSTドライバー」のハイスピードなレスポンス性能とパワーリニアリティに応えるため、ウーファーユニットの性能においても低域再生のリニアリティの向上を徹底的に追求しました。〈TAD Reference One〉では、大振幅の時でも常に安定した動作で、しかも振幅が制限されることがなく、波形を正しく再現するために、ショートボイスコイルタイプの「OFGMS(Optimized Field Geometry Magnet Structure)磁気回路」を採用。従来型の磁気回路では、ポールピースの磁気抵抗がギャップ内の磁束密度分布への影響を与えてしまいます。そこで「OFGMS磁気回路」では、ボイスコイルの外側に位置するプレートに独自のスリットを設置することで、33mmものロングギャップでありながら、その間の磁束密度を均一化することを可能にしました。これにより〈TAD Reference One〉の25cmウーファーユニットは、22mm以上のリニアな駆動特性を持った秀逸なドライブ能力を獲得しています。

低域の大音量時も変形することのない独自の三層構造、「TLCC振動板」。

〈TADReferenceOne〉のウーファー振動板は、大型ネオジムマグネットを採用した磁気回路と、大口径100mmのボイスコイルにより強力に駆動されます。そのため駆動パワーに負けない強靱さと高い剛性が求められます。その理想的な物性を得るために、航空機で軽量高剛性の実績がある発泡アクリルイミドをコアにアラミドファイバーでサンドイッチした独自の三層ラミネート構造による「TLCC(Tri-LaminateComposite Cone)振動板」を採用しています。各材料を個別に成型し織布のもつ異方性の特徴を生かすラミネート方法とすることで、軸対称モードの共振を低減しています。また、ボイスコイルの駆動をダイレクトにコーンへ伝達するボイスコイル接合方法を採用し、センターキャップとコーンの接合部にはTADのプロユニットと同様の補強を施して振動系の強度を高めています。その結果、豊かで反応の速いクリアな低音の再生はもちろん、中域の再生においてもカラーレーションのない素直な再生を実現しています。


TLCC振動版断面


ウーファーユニット分解写真

コンピューター解析を駆使し、最適形状のサスペンションを実現。

〈TAD Reference One〉に採用されているサスペンションは、すべてその最適な形状と材質の組み合わせを最新のコンピューター・シミュレーションにより算出。さらに入念なフィールドテストを繰り返し実施することにより、その性能はユニットの能力が最大限に発揮されるよう十分なリニアリティを確保しています。特に、ウーファーにおいては高性能なデュアルダンパーを採用。大振幅の入力が連続するような場合においても歪みを発生させることなく常に安定した動作を実現しています。また、サスペンションの一部であると同時に音質にも大きな影響を与えるパーツであるエッジには、プロフェッショナル用の「TADドライバー」で定評のあるコルゲーションエッジを採用。大振幅の入力に対しても音崩れを起すことなく、正確な動作でコーンのピストンモーションを支え、〈TAD Reference One〉のサウンドの基盤となる抜けが良く、しかも重厚感にあふれた低域の厚みと音場の豊かな拡がりを再現します。


ウーファーユニット


25cmウーファーユニット構造図


駆動力が一定の振幅範囲におけるリニアリティーに優れる

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独自の構造で強度を極限まで高める「SILENTエンクロージャー」の思想。

〈TAD Reference One〉は、流れるような優美な曲線と不動の安定感を究めた新「SILENT(Structurally Inert Laminated Enclosure Technology)エンクロージャー」を採用。ドライブユニットの優れた性能を最大限に発揮させるため素材の選定から構造、そして形状に至るまで徹底した無共振化を追求しました。その無共振化の基本となるのが航空機の翼や船舶の構造理論からヒントを得た強固なエンクロージャーの設計法です。構造は、厚さ21mmのバーチプライウッド(樺合板)の横隔壁を骨格にして強固な枠組みを構成。周囲を複数枚のMDF薄板を高周波加熱プレス成型した厚さ50mmの側板や55mm厚のバッフル、30mm厚のヘッドなどで形成するという、異質な素材を結合させるハイブリッド化により強度を極限まで引き上げることに成功しました。さらに、音響工学に流体力学の発想を取り入れたデザインのティアドロップ形状にすることで、音の回折を低減し優れた音場表現力を達成。強度的にも不要共振を排除する効果を高めると同時に音質に影響を与える内部定在波の発生を抑え込む「ABDテクノロジー」と相まって画期的なエンクロージャーを実現しています。

揺るぎない安定感を確保する「スラントレイアウト設計」。

ティアドロップ型の形状を持つ〈TAD Reference One〉のエンクロージャーを垂直に立てた場合、バッフル面に取り付けたユニットの重量などにより、その重心バランスはフロント側に偏りが出ます。そこで強力なウーファーの駆動力をしっかり受け止め、ユニットの実力を余すところなく発揮させるためにエンクロージャーを後方に4度傾けることにより、重心位置の最適化と同時にタイムアラインメントの調和を図りました。システム全体で150kgという超重量級の質量と相まって、力強い圧倒的な低音の再生力とクリアで繊細な表現力を達成しています。さらに、エンクロージャー底部には航空機などの素材にも使用される高強度なアルミニウムとバーチプライウッドによる「高剛性ハイブリッド・ベースプレート」を採用。スパイクにもコーン(円錐)型と丸(球面)型の2タイプを用意し、3点支持とすることで設置場所の状況を問わず揺るぎない安定性と一段と高い制振性を確保しています。


丸型スパイク


コーン型スパイク

「TADホーン」の流体設計の技術思想を受け継ぐ「エアロダイナミック・ポート・システム」。

大入力・大振幅時においてもウーファーユニットがストレスなく駆動できるようバスレフのポート部は、プロフェッショナル用の「TAD」システムにより培われたコンプレッションドライバーとホーンの設計思想を導入。精密な流体設計の理論をベースにデザインされた「エアロダイナミック・ポート・システム」を採用しています。その性能は、ウーファーユニットが可動域の限界まで駆動しても風切り音がまったく発生しないほど滑らかな整流効果を発揮。ポート内の空気の流れと圧力の絶妙なコントロールによって、かつてないクリアで深い低域再生の実現に大きく貢献しています。


エアロダイナミック・ポート・システム

内部定在波の発生を抑え込む、独自の「ABDテクノロジー」を採用。

無共振化を徹底追求した新「SILENTエンクロージャー」の採用。緻密に計算された「エアロダイナミック・ポート・システム」の搭載。さらに、コンピューターシミュレーションによるユニット設置位置の最適化により、エンクロージャー内で音質に影響を及ぼす定在波の発生を抑え込む、〈TAD Reference One〉独自の「ABD(Acoustic Balance Drive)テクノロジー」を採用しました。低域から中域における濁りのないピュアなサウンドは、繊細な表現力をよりいっそう引き立てています。


ウーファーエンクロージャー内
定在波シミュレーション


CSTエンクロージャー内
定在波シミュレーション

高級家具メーカー「天童木工」とエンクロージャーを共同制作

1940年に山形県天童市で創業した日本を代表する高級家具メーカー「天童木工」とエンクロージャーを共同制作。日本古来より伝わる匠の技術を活かした成形・加工方法により、SILENTエンクロージャーをより強固に仕上げました。
外装色は、ダイアフラムに使用しているベリリウムの原料である希少鉱石「ベリル」に由来する、深みのある緑の宝石をイメージした「エメラルドブラック」とベリリウムから成る赤い宝石をイメージした「ベリルレッド」の2色をラインアップ。どちらも “Reference” の名にふさわしい天然木ならではの美しい風合いを生かしながら深い光沢と気品に満ちた色調を実現しています。


EB(エメラルドブラック)


BR(ベリルレッド)

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セパレートマウントにより、干渉を排除した高品位ネットワーク。

〈TAD Reference One〉のネットワークの設計にあたっては電気的・磁気的な結合を排除し、干渉のない給電を可能にするため、CSTドライバー、ウーファーのネットワークをそれぞれの独立した基板にセパレートしてマウントしました。CSTドライバー用のクロスオーバーネットワークのメイン基板は、高品位なアルミニウムを贅沢に使用したリアパネルに設置。特に、圧倒的なパワーを持つ高能率ベリリウムミッドレンジを正確にコントロールするため、厚さ27mmの切削アルミによるリアパネルをネットワークの設置プレートとすることで、温度変化によってパーツの抵抗値が変化するのを防ぐヒートシンクとしての機能も付加しています。


クロスオーバー・ネットワークCST用(左)とウーファー用(右)

空芯コイル、無誘導抵抗、PPフィルムコンデンサーなど、オリジナルのカスタムパーツを採用。

クロスオーバー・ネットワークには、「TAD」オリジナルの素子をはじめ、厳選された最高クラスのパーツだけを採用。信号経路内の空芯コイル、無誘導抵抗、PPフィルムコンデンサーなど、すべてが慎重に選択され、「CSTドライバー」の能力をいつでも存分に発揮することができるよう最適化されたもので、その信号の透過性は最高度に維持されています。また、ウーファーのネットワークには高品位な積層鉄心コイルを使用することで、ハイパワー低サチュレーションを実現しました。さらに、これらのパーツを取り付ける基板には、肉厚銅配線の高級「ガラスエポキシプリント基板」を採用。パフォーマンスの安定性と再現性を保証すると同時に、伝送ロスを抑えるネットワーク回路の最適化・最小化も図っています。

厚膜金メッキ処理を施した専用設計による大型削り出しスピーカー端子を採用。

スピーカー端子には、確実な結線を保証する厚膜金メッキ処理が施された専用設計による大型削り出しパーツを採用。ノブは軸径21mmで、シンプルかつ豪華な仕様です。Yラグからバナナ端子まで対応し、汎用性に優れた設計となっています。


大型削り出しスピーカー端子

磁気歪みによる音質の劣化を防ぐために、給電経路内から磁性体を徹底排除。

さまざまなパーツに使用する素材の選定に関しては、隅々まで気配りを徹底。給電経路内から磁性体を排除することで、磁気歪みによる音質の劣化も防ぐなど、細部に至るまでクオリティの向上にこだわっています。

スピーカーシステムはもちろん、ユニットについても 「シリアルナンバーによる厳格な製品管理」を実施。

〈TAD Reference One〉は、いつでも最適なコンディションで末永くご使用いただくために、厳格な製品管理を実施。製品だけでなく、各ユニット、エンクロージャー、ネットワークなど、一品一品の管理を徹底し、アフターケアの対応も万全の体制を整え、いつでも最高の音楽をお楽しみいただけるようお客様のフォローを行ってまいります。

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仕様

型式 3ウェイ位相反転式フロア型
ドライブユニット ウーファー: 25 cmコーン型×2
ミッドレンジ / トゥイーター: 同軸16 cmコーン型 / 3.5 cmドーム型
パフォーマンスデータ 再生周波数帯域: 21 Hz ~ 100 kHz
クロスオーバー周波数: 250 Hz、2 kHz
ユニット極性: 低域(+)、中域(+)、高域(+)
最大入力: 300 W
出力音圧レベル: 90 dB (2.83 V、1 m自由空間)
定格インピーダンス: 4 Ω
その他 質量: 150 kg (1台)
外形寸法: 554 mm (W) x 1293 mm (H) x 698 mm (D)
付属品 ・アクセサリーキット: クリーニングクロス、短絡コード×2、コーン型スパイク×3、
丸型スパイク×3、六角レンチ(開梱用)、オーナーズマニュアル(英・日・仏版)、保証書
・ウーファー保護カバー×2
外形寸法 (単位: mm)

アワード / レビュー

アワード

ステレオサウンドグランプリ
Stereo Sound 2019 *雑誌掲載

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レビュー・レポート

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